33人が本棚に入れています
本棚に追加
予章.
天空(そら)は
いつの日も
蒼く、蒼く
見上げた僕の思考を支配していき
眼を閉じると
そこに闇は広がらず
藍の色が深く、目蓋の裏に焼き付いていた
嗚呼、この深い蒼は
黄昏(たそがれ)時
日が沈みきる一瞬前の
あの夜の静寂を待つ、束の間の空色に近いだろうか
(其れは世界が終りゆく色)
否
夜明け前
今にも朝日が昇らんとする一時(ひととき)の
どこまでも透み渡った
あの洗練された、蒼い夜空の色だろうか
(其れは世界の始まりゆく色)
どちらにせよ
その色は深く
深く
美しく・・・
僕たちの世界を、ゆっくりと、その腕(かいな)に包み込んでゆく
耳鳴りがする程
研ぎ澄まされてゆく世界
僕はその感覚に身を委ね
静かに、目を開いた――――。
・
最初のコメントを投稿しよう!