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 「よ、はよー天羽」  「うん、はよー」  登校した尚也にさっそく話し かけてきたのは、隣のクラス お調子者の高木だった。  「悪りィ、英語の教科書かし  て」  「ん、」  カバンから取り出した教科書 を渡す。  「さんきゅー。つうかさ、お  まえ今日顔白くないか?」  「え、そう?」  自分ではあまり気が付かなか った、と言うと友人はホイと 持っていたコーヒー牛乳を渡 してきた。  「なに」  「やる。教科書の礼な」  くれるなら貰おうかな、とそ の紙パック飲料のストローを 開けているその耳に「それ飲 んで精をつけろー」という声 と共にその友人の足音が隣の クラスへと戻っていくのが聞 こえた。  「朝はちゃんと食べてきたん  だけど」  ポソッと呟く。  やっぱり夢見が悪かったせい からか。  今年高校を入学してもう半年 になるというのに、メンタル 面が弱くて何とも情けない。
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