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「ピアスは…また今度でいいや……。それより、スケボーの雑誌多いけど、スケボー出来ると?」
と、ヒラリマントを使ったかのように、華麗にスルーしてみた。
「出来るぜ。あっそうだ…ちょっと待っとって。」
良平はそう言うと、押し入れの下段をガサガサと漁り出した。
中から、ホコリまみれになったスケボーを一台取り出した。
「古くて、悪いけどコレやるよ。一緒にやろうぜ!やり方は俺が教えるし…。」
キラキラと瞳を輝かせた良平の申し出を断る事が出来ずに、僕はスケーターという者になってしまったのだった。
ふと、時計を見ると夕方の5時になろうとしていた。
「マズイ!俺帰るけん…。」
「何で?もうちょっといいやん。」
「ゴメン。今日バイトの面接っちゃん。また明日学校でね。」
「おぅ。わかった。」
僕は足早に良平の家を飛び出した。
さっき言った通り…今日は面接。
中学時代に働いていた、美香との思い出の詰まった料亭で…。
まだ、美香の事を思い出すと辛いけど…良平はそんな僕を変えてくれそうな気がしていた。
今までにないジャンルの友達…。ちょっと手癖が悪そうな、高校生活第一号の友達。
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