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キュキュッ…―
オレのバスケットシューズが、体育館の床を、まるで音楽を奏でるかのように鳴らす。
部員達の元気な声が、体育館に響き渡る。
小さな田舎町の小学校の体育館。
この体育館で、オレ達は出会ったんだ。
何だ?
このオバチャンは…?
馴々しいな…
ってゆーか、ウザイよ!
それがオレのユウコに対する第一印象だった。
ユウコに初めて出会ったのは、オレが小学6年の頃…まだ11歳だった。
オレは、地域のバスケットボールクラブのキャプテンを努めていて、毎日ひたすら汗を流していた。
あれは、オレが6年に進級したばかりの4月の出来事だった。
「リョータ~今日、監督休み~!」
と、厳しい監督が居ない事を喜んで居るのは同じクラスのタカシ。
タカシとは小学校に入学した頃からクラスも一緒で、何をするのもいつも一緒、オレとタカシは親友でバスケットもタカシと一緒に始めた。
タカシはガードで、オレはセンタープレーヤー。向かう所敵なし!って感じだった。
「そっかぁ~監督居ないからってサボるなよ!今年は狙ってんだからな!」
今年は小学校最後の年で、目指すは全国大会!
夢に向かってオレはがむしゃらだったし、目指すモノの為にオレは脇目も振らない…そんな毎日だった。
タカシはそんなオレの気持ちを、知ってか知らずか興味があるのはオレと違うモノ。
「あっ!今日さ、女子に新入部員入るって!リョータ、知ってたか?」
タカシはオレに嬉しそうに言ったが、オレは新入部員が入るなんて知らなかった、というか全く興味がなかった。
「ふーん…いいんじゃね?賑やかで?」
こうしてタカシの言葉は、オレの耳をトンネルにして出て行く。
この日もいつもの時間に練習は始まったものの、監督が居ないと大体の仲間は適当な練習をする。
オレは誰よりも上手くなりたい、何処よりも強いチームになりたかった。
だから、そんな適当な練習をする仲間が嫌だった。
しかしオレの言う事はなかなか聞かない奴等ばかりで、また今日も適当な練習で終わるのか…?
そう思った矢先の事だった。
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