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『もし、アンタが悲しみに潰されそうな時は空を見て!オイラが優しい雨をきっと降らせて上げる!』
俺は奴の言葉が嬉しくて笑いながら言った。
『有り難う。そうするよ。』
『元気でね。元気でね。』
何度も何度も繰り返す奴の声も遠く聞こえなくなった。
俺は駅まで走って終電に駆け込んだ。
色々な人で溢れた車両内。
皆、自分の生活を背負ってる。
守るべき者の為に戦い続けている。
生きるって事は素晴らしいね。
優しい気持ちが生まれてくる。
俺は電車を降り、家路を辿った。
七月八日晴れ
窓を開けると清々しい朝の風だ。
サンサンと照り付ける太陽と、立体感のある雲とは、梅雨の終わりと本格的な夏の始まりを告げていた。
『さぁ、俺も奴に負けないよう精一杯生きなくちゃ。いつまでも夢を抱えて。』
そう言って深く息を吸い込むと、いつもより強い自分になれた気がした。
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