Prologue

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”今宵命はポトポトかがり 君と僕との命はかがり 僕らの命もタバコのやうに どんどん燃えてゆくとしきや思へない”   SevenStarsの燃えてゆく音… 秒針が命を削る音… いやに耳が研ぎ澄まされた一人の部屋の中 俺は立ち上ってゆく紫の煙を見つめていた。   「我が胸の 心の靄に くらぶれば…か。」 その雑誌には、25歳を機に夢半ばで故郷に帰らねばならない男の呟きが載っていた。 たった数行の投稿の中で、男の意識に深くシンクロした。 俺はその時、確かに誰かの残した心の欠片を拾ったんだ。   『俺も何時か夢を捨てる日が来るんだろうか…』 まだ17の俺には見当もつかなかったが、男の無念は心に強い蟠りを残した。 その想いは決して消えそうになかった。   「それならば…。」 それならば抱えてゆこう。 叶わなくってもいい、歩き続けよう。 それだけが置き忘れられた心への餞だろう。 夢に生き、夢に死のう。 いつの日にか大きな花を咲かせる事を夢に見て俺のポケットで眠っていればいい。   我が胸の 心の靄に くらぶれば 煙は薄し SevenStars      詠み人知らず
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