第三章-日常の狭間で-

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午後七時三十分 満開の桜が、夜空を彩っている。 公園には、大勢の花見客が集まり、盛り上がっている。 「どうした清二?」 「何か悩みでもあるの?」 元気のない清二に、隆史とクラスメイトの愛理(あいり)が心配そうに問いかける。 「あ、ううん別に」 清二には言えなかった。 自分が抱えている、余りにも非常識すぎる話を。 一時間半前 剣を構えたまま呆然とする清二。 「いつまでぼーっとしてるの?」 セルトの声で清二は我に返った。 「え?」 周囲を見た清二は驚いた。 無意識の内に振った剣によって、怪物達が全て倒れていたのだ。 「これは・・・?」 「やっぱり、覚えてないんだ」 悠果がまだ少し驚いた様子で、清二に声を掛ける。 「・・・君は?」 「私は長谷川 悠果(はせがわ ゆうか)。こっこちはセルト」 「よろしく」 清二はある事を思い出した。 悠果という名前は、今日の入学式の欠席者名簿に書いてあったのだ。 だが今の清二に、そんな事はどうでもよかった。 今最も知りたいことは 「君達は・・・一体何者なんだ?」 悠果とセルトは、数秒沈黙した後 「黙ってる訳にもいかなくなったねぇ」 「うん」 二人は清二に真実を語り始めた。
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