第一章-最後の平穏な日常-

2/2
前へ
/69ページ
次へ
西暦2019年 人々は、いつもと変わらない生活を送っていた。 車の渋滞や、朝の通勤ラッシュ、変わらない日常の風景である。 その中でただ一人、普通の人とは違った生活を送っている青年がいた。 「やばい、完全に遅刻だ!!」 青年の名は瀬山 清二 彼には不思議な力があった。落ちてくる物を空中で止めたり、猫などの動物と話しをしたり出来る。 家族は心配しているが、友人達は面白がっている。 そんな清二も、現在ピンチを迎えていた。 「入学式そうそう遅刻したら、一大事だ!!」 高校の入学式に、遅刻寸前なのであった。 「間に合ってくれぇ!!」 神に祈りつつ、ひたすら清二は走り続けた。 15分後 入学式には間に合ったが、式中の時間は全て睡眠についやし、帰る頃には元気になっていた。 「どうやったら入学式に遅れそうになるだよ」 友人木崎 隆史(きざき たかし)が、呆れた顔で清二に聞く。 「お前だけにはその質問を、されたくない」 悔しがりながら清二が言う。それには理由があった。 いつもなら、問題児である隆史が遅れて来るのだが、今日ばかりは清二より先に、学校に来ていたのだ。 (何で俺がよりにもよって、隆史に負けたんだ) 心の中でも悔しがっていた清二であった。 「でも、清二君がギリギリなんて本当に珍しいね」 そこへ、清二の幼馴染みの岡島 愛花(おかじま あいか)が2人の所へ来た。 「今日は夜桜祭りだね」 「ああ、そういえば……」 清二は思い出したかのように言う。 夜桜祭りとは、清二の住む家の近くで開催される花見のようなものである。 「じゃあ、6時に公園集合だ」 「うん、清二君も来るでしょ?」 「もちろん」 こうして、清二は隆史と愛花と別れた。 この時の清二は、自分はもはや平穏な日々に戻る事が出来ない道に進んでいるとは。 まだ知る由もなかった・・・。
/69ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加