忠誠

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「月斗様も星斗様もわかってらして私にお茶を持っていくように言ったのですね」 サロンへ入るや否やサミュエルは双子にキツイ眼差しを向けた。 ここへ来る途中で風斗が双子の意図をサミュエルに教えたのだ。 「雷のやつ、あんなに飢えた顔してんだもんな。すぐに水斗に襲いかかるのはわかりきったことさ」 「そうそう。わかってないのは当の本人だけ。無邪気な顔で雷が来たのを喜んでたもんなぁ」 観察力が鋭いため双方の状態がわかってて二人きりにしたようだ。全く悪びれる様子もなく悪戯っ子のように無邪気に笑っている。 「ふぅ…まったく… 悪戯も程々にしてくださらないと。私があのまま気付かず扉を開けていたら大変なことになっていましたよ」 ブツブツと小言を言いながらもサミュエルは完璧な手付きで紅茶をカップに注いでいた。 「それならそれで楽しいじゃねえか。なあ?」 「ああ。水斗は真っ赤になって慌てるだろうが、雷は構わず続けそうだよな」 クククッと笑いながら楽しそうに想像しているようだ。 『はあ~…このお二方ときたら…』 内心呆れ気味に盛大なため息をつきながらもテーブルに3人分のセットをし終えて 「これでよろしいですか?もう二度とこのようなことはなさらないで下さいよ」 そう釘をさしてから頭を下げて退室しようとしたが、この部屋に入ってから無言で双子と執事のやり取りを見ていた風斗がおもむろにもうワンセットカップを用意しだした。
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