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1941年4月、ベルリン。
第三帝国の中枢に位置する都市の偉容を官邸の窓から眺めながら、男は口を開いた。
「時は満ちたぞ、諸君」
穏やかな、しかし力強い口調の言葉に、部屋の中央のテーブルを囲んでいる男達はめいめいに深くうなずいた。
「まさしく。フランスにビシー政権が成立し後顧の憂いがなくなった我々に対し、ソビエトは赤軍の大粛正で混乱状態とか。ボルシェビストどもを打ち倒すにはこの機を逃して他に有り得ません」
「しかしソビエトとは不可侵条約を結んでいるだろう。反故にするつもりかね?」
「何を悠長な事を言っている。奴等との約束など…」
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