‐はじまり‐

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眩しい光のトンネルを高速で抜けるタイムマシン。 ジャスティス「サングラスしてて良かったな…。」 そんな一言を口にするが、 心の中ではジン達の事を心配していた。 無事に飛行を続けて疾走する。 間もなく何かが見え始める。 瞬きを終えた瞬間の目の前は、 すでに目的地へと到着していて、 上空をゆっくり漂っていた。 ジン「そろそろ時間か?」 シュンスケ「うん。」 ジン「気をつけてな。」 ここは人の少ない場所で、 町までの徒歩も少しキツイ…。 なぜ 私がこの地に自宅兼研究所を建てたのかというと、 私の発明には大きな被害を招く危険性があるからだ。 しかし、 息子シュンスケにとっては、 少しツラい思いをさせてしまっているだろう。 15歳となり、 町などで遊びたい年頃だ。 シュンスケ「行ってきます。」 ジン「ああ、行ってらっしゃい。」 息子は無口な所もあるが、 前と比べてよく話すようにもなり、 私はとても安心している。 しかし、あのまま生涯独身かと思っていたが、 何が起きるかは分からないものだ。   フフッと溢れる笑みを噛み締めて、 作業に入るジン。 シュンスケは学校へ向かって歩く。 影が一瞬、 シュンスケを横切る。 上を見上げると、 真っ黒い煙りを吹き出す何かが急降下して、ジンの研究所の方へと向かっていく。 シュンスケ「……。 親父がまた何か作ったのか?」 再び学校へと向かうシュンスケ。 ピットに居るジンは、顔全体を覆った作業用の鉄マスクを付けて、 バチバチと火花を散らしている。 作業が終わり、 一段落つこうと煙草に手をやるその先の窓の向こうには、 炎が立ち上っていた! ジン「か、かかっ、火事ぃッ!?」 消火器をやっと見つけて外へ飛び出したジンだが、 目の前の炎はすでに燃え尽き、 物体を取り囲んだ辺りには焦げついた跡が残っている。 ジン「車…? いやいやタイヤなど付いていない…。 飛行機にしては小さすぎる。 ヘリコプターならプロペラがあるはずだが? ――…ま、まさかこれは!」 ジンは汚れた白衣のポケットを探り出す。 すると、 クシャクシャに丸められた紙くずが出てきた。 それを破れぬよう丁寧に、 そして急いで開く。 開かれたそれはシワシワの設計図。 そして、 紛れもなく、 目の前のタイムマシンと同じ構造のそれであった。    
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