‐時の歪みと消える男‐

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――ガスッ! そのまま彼が倒れこむ! 高校生「痛ってぇッ…。」 ハルカは口を手で押さえ、 カツヤは呆然とシュンスケを見据えていた。 それからいつも一人でいるシュンスケに、 カツヤとハルカはよく絡むようになっていく。 しかし、 中学3年の現在、この3人の関係に大した変わりはない。 キーンコーン カーンコーン…。 下校時間―― ハルカ「おーいシュンスケー!」 シュンスケが家に帰る途中の道、 カツヤとハルカの二人が走って来る。 カツヤ「なぁ!なぁ! 今日カラオケ行かねぇ?」 シュンスケ「俺、風邪ひいてんだけど。」 ハルカ「あ!忘れてた。」 カツヤ「あっちゃあ、 うっかりしてたな…!」 シュンスケ「ゴホゴホ…、じゃあな。」 ハルカ・カツヤ「う、うん。」 俺はシュンスケ。 ちっちゃい時に親父に拾われて、 学校にまで行かせてもらっている。 親父は前に、 奥さんと子供がいたらしい。 けど、 子供が生まれてまもなくに、 離婚したって話してた。 俺が捨てられていたのを拾ったってのは、 それからだそうだ。 特にしたい事や、 夢もない俺の唯一の趣味といえば、夜空を眺める事。 星空を眺めてると静かで落ち着けるんだ。 これは別にそんな叶えたい夢ってわけじゃないんだけど、 今は拾って育ててくれた親父に、 何か恩返しでもできりゃいいなって思う…。 シュンスケが家に着くと、 玄関の横に黒焦げた何かがあった。 だが、 そんなものがあろうと驚きはしない。 シュンスケ「親父のやつ。 また失敗作を増やして…。」 家の戸を開ける。 ジン「む、帰ってきたようだな!」 シュンスケ「ただいまぁ。」 ユウキ「きみが、 シュンスケ君か。」 シュンスケ「…アンタ、だれ?」 シュンスケとユウキが、 初めてここで出会った。      
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