‐平和滅亡の日‐

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入力し終えたリモコンを自分の白衣のポケットにしまい、 動き出すタイムマシンに目をやった。 ジン博士が見つめたそこに、 じっと出発を待つ青年の姿がある。 ジン博士「世界初のタイムトラベルが、 こんな形とは…皮肉なものだな。 ジャスティス、――頼むぞ!」 ゴオンッという音と共に、 ゆっくりとゆっくりと、 重量感あるタイムマシンが浮きだし始める。 ジャスティス「…必ず戻るよ。」 段々と小さくなるジン博士を横目に見下ろしながら、 ジャスティスは少しだけ物思いにふけっていた。 宇宙生命体であるモンスターが出現し始めてから、 幾年かの年月が経っている。 出現当時は防衛機関など設立されておらず、 人々は人間を襲うモンスターに恐怖と混乱を覚えるだけだった。 しかし、 軍による怪物退治で大きな被害は止まってはいた。 町外れに住むキテレツな科学者であったジンは、 人知れず様々な研究や実験から開発まで行なっていた。 モンスター飛来後、 友人からその腕を買われたジンは地球防衛機関に誘われる。 それ以前までは捨て子である少年“シュンスケ”と一緒に住んでいたのであったが、 とある事件が起きる。 そのシュンスケが学校へと行く道筋に、 モンスターと遭遇し、襲い殺されたのである。 現場の目撃者である同級生の証言はそれだけで、 シュンスケの死体は行方知れずであった。 無惨な事実を知ったジンは、 血の繋がりはなくとも息子のように育ててきた少年の死を嘆き悲しんだ。 それから幾日か、 軍が新たに立ち上げた組織。 地球防衛機関 “ジャスティス”が設立。 そこへジンが配属され、 まもなく地球に潜伏していたというレグナが突如として現れた。 彼はモンスターよりも強大な力を持ち、 ジン達の開発した科学兵器や機関の攻撃を物ともせずモンスター達を従えて破壊を繰り返していく。 レグナが現れたのはごく最近の事。 モンスター襲来から5年ほど、 あっという間に過ぎてきた日々。 今まさにそれへ決着づける為、 希望を託された青年が出発する。      
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