‐出発の時‐

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激しい風圧でモンスター達が飛ばされる。 レグナは閉じた目を開けて気づいた。 レグナ「居ない…!?」 辺りを探すが、 自分に向かって突進してきた飛行物体はいなかった。 レグナ前方の街は何もない荒れ地へと化し、 砂ぼこりと静けさが漂うだけだ。 目の前の荒地を前に、 ポツリとそびえ立つ都心タワーから笑い声が聞こえる。 レグナ「アッハッハッハッ! 俺の前では、 全ての行為は山にもならずに、 チリともならない! 邪魔な壁など何もかも消してやるっ!」 惨劇となった街を見下ろすモンスター達も歓喜をあげて、 レグナを称えるようにクルクル飛び回る。 ――突然、 空に広がった雲が渦を描きだす。 レグナ「…?」 静けさの中で天空から何か現れ、 降りてくる。 雲の渦の中心から人の様ななにかが…。 空からの降り人「ここにいたかレグナ…。」 都心タワーの天辺から睨みつける彼の眼差しは鋭い。 レグナ「誰だ…。」 空からの降り人「想像以上の成長ぶりに、 私は嬉しいぞ」 レグナ「まさか…お前が俺の!?」 次第にその男はレグナの元へと降りてきた。 男「そう。我こそが、 貴様の父であり、 この全宇宙を支配する魔王…“ベガ”である!!」 レグナ「!!」 モンスター達は魔王の出現に恐縮しきっている。 ベガ「レグナ、 お前の動向が確認できず心配しておったのだが、 無事に覚醒が果たせたようで安心した。」 レグナ「――何の話だ? 俺は眠りから醒めたこの日まで力を蓄えてきたんだ。」 ベガ「む、覚えていないのか? ――…まぁよい。 さぁゆくぞ、息子よ。」 レグナは目を閉じ沈黙する。 ふわりと殺気が漂った。 ベガはバサリとマントを広げ、 まだ手をつけていない地を目的に飛び去る。 風が舞い上がり、 不敵な笑みを浮かべたレグナが目を見開く! レグナ「――さぁ! 新世界のはじまりだあぁーッ!!」 ――西暦2070年―― 辺り一面に殺風景が広がる荒野の中にはもう誰もいない。 幾つもの爆発音が遠くから響き渡り、 数分と経たない内に静かな無音に変わる。 宇宙から、 星の光が 一つ 消えた。      
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