私と母

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私が六年になったある日、下の兄が女の人を連れ、家へとやって来た。 それと入れ違いに、上の兄は家を出た。 小さいアパートで、部屋も少なかった為、上の兄は家を出る事で、下の兄と彼女の居場所を作ったのだろう。 そしてその下の兄が来た事で、私の人生はまた、歪んだ道に進んでいく事になった。 兄と一緒に来た彼女は、初めての姉の様な存在だった。 何処に行くのも一緒に連れていってくれた。 まぁそぉ言えば聞こえは良いが、行く場所は善くも悪くも、だ。 今の時代には懐かしい存在だろうが、私の時代には、暴走族が憧れの様な存在だった。 その兄の彼女が、どぉやってその人と出会ったのかは未だに解らないが、私もその集まりに、よく連れられていった。 確かに下の兄もそんな時代があったらしいが、もぉ九州に来る頃には、どっちかと言うと、暴力団の世界に足を踏み入れていた。 実は組のお金を使い込み、逃げて来た事は後から知った。 今の父と、母が頭を下げ、使い込んだお金を支払ったらしい。 いくら父が働いていたとは言え、決して楽な金額では無かっただろう。
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