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私はこの頃の母の行動を、とやかく言うつもりは無い。
世間で言う所の不倫だったのだろうが、この頃の父の酷さは、兄から聞いて知っている。
酒を飲み、働きもせず、私や兄の学校のお金、食費、全て母が稼いでくれていたらしい。
未だ幼さ故に愚かな私は、そんな事さえ知りはしなかったけれど。
まぁ、そんなこんなで、父と母が別れたのが、この頃だった。
私は母と共に今の父の元へ。
兄二人は、父の元に残った。
上の兄は自ら父の元へ残ると決め、下の兄は、母と行きたかったらしい。
つい何年か前、上の兄から聞いた。
実は今、下の兄が何処で、無事に生きているかさえも知らない。
下の兄は、自分も新聞配達で働いて、母を助けるのだと、言っていたらしい。
しかし、置いて行かれた兄は、母を憎んでいた事を、その時聞いた。
そして、連れて行って貰えた私の事も、同様に。
逆恨みって言えばそれまでだが、私は兄を軽蔑することは出来ない。
下の兄とは後に、半年ほど暮らす事になるのだが、それはまた、後ほど。
とりあえずこれが、私の記憶の中にある、一年生の頃の話だ。
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