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二、三年生の時。
母の手紙にも出て来た頃。
母は父と別れ、今の父と一緒になった。
妹も生まれ、嬉しかった。
私は母と暮らしながら、本当の父の家に、週に一度行っていた。
父の家には、父の母である、お婆ちゃんが、九州から出て来ていた。
父は父で、母と別れた後、体調を崩して病院に通っていた。
この頃の父は、確かに酒は飲むものの、私にとって酷い父ではなかった。
今思えば、止められた酒を私に買いに行かせ、お釣りでジュースを買わせる事で口止めしていたのだと解るのだが。
知らなかったとは言え、父が体を壊すのに私も荷担してしまった事への後悔は拭い切れない。
三年生のある日。
父の家に向かう日。
今の父と母と妹が、車に乗って出掛けて行った。
所謂、死に場所を求めた旅だった。
その日に限って車に気をつけろとか、お父さんの言う事をよく聞けとか、朝から口煩く言っていたのを覚えている。
母は母なりに、置いて行く私が気掛かりだったのかも知れない。
そんな決意を知らない私は、その週末も兄に沢山遊んでもらった。
お婆ちゃんからお菓子のお土産を貰って、いつもの様に母の元へと自転車を走らせた。
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