私と母

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恐らくあれは、母の昼ご飯の時間だったのだろう。 賄いで食べるラーメンを、私に食べさせてくれていたのだ。 今考えれば、家でも外でも働き、きっと誰よりも空腹だっただろうに、私に与えてくれていた。 時々、駄菓子屋で売っている、五円の小さなチョコを、何個かお土産で買ってくれた事もあった。 父は父で母の居ない家の中、妹と私に不自由させまいと頑張ってくれていた。 小学校の前にあった駄菓子屋さんまで私の手を引き、妹をおぶり、丸く輪になったチョコを買ってくれた。 その日々が、凄く嬉しくて、楽しかった事を、今でも鮮明に覚えている。 あの出来事は恐らく、そんな些細な幸せさえも、限界に来た瞬間だったんだろうと思う。 私は幼さ故愚かで、あの出来事で、母を怨んだ時もあった。 私は捨てられたのだと、要らない子になったんだと、一丁前に登校拒否になったりもした。 そんな馬鹿な考えが、恐らく私が、間違った道へと歩むきっかけだったのだろうと思う。
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