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そして月日は流れ、私が小学五年の頃。
一番上の兄は、バンドを始め、何だか意味の解らない歌を、毎日かけていた。
下の兄は部屋へ悪友を招き入れ、薬やら何やら、悪の限りを尽くしていた。
私たちは皆、バラバラになってしまっていたのだった。
そんな時に悪い事は続くもので、父のお婆ちゃんが、子宮癌になってい、治療の為に九州へ帰る事になった。
父もそれを期に、家を売って共に九州へ帰る事を選んだ。
父と、上の兄と私は一緒に行く事になったが、下の兄は、地元に残る事を選んだ。
こうして下の兄との、二度目の別れが来る。
しかしあの頃の私は、下の兄があまり好きではなかった。
私に冷たかった理由は後に知ったが、あの頃の私は知らなかったから。
今思えば、優しかった瞬間もあったのに、私はそれに気付かない馬鹿だった。
そして九州に渡り、一年程は何事も無く過ごした。
相変わらず父は酒にだらし無かったが、兄が必死に家の事をしてくれ、私は学校へも何事も無く通っていたのだった。
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