【序章】

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 ボルドとソルの関係は、単なる外国ではない。  文字通り世界が違うのだ。  互いに異なる環境から違う歴史を歩み、異質の文明を築いて来た、別世界の存在だった。  よって、ボルド民にとってソルは異形の者でしかなく、ボルソル大戦へと踏み切った素因にも、  畏怖の対象になっていた……と言うのが、真っ先に上げられる。  ソルの知的生命体は、何も人間ばかりではない。  姿形は人間であっても、背中に翼を持つ亜人間的な存在は常識だ。  満月の夜に狼化する者だって、れっきとした国民として、当たり前に市民権を所得している。  全世界が『ボルソル』と呼ばれている現代では、ボルドの世界にある街中にも、こう言った存在が当然の様に街角を歩いているのだが……  それは常識として当然だと言う知識があるからに過ぎない。
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