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敬礼をしてスクリーンから消えると、ザールは作戦内容の確認と艦隊の出撃準備に掛かった。
それよりも先に機動部隊がまず、手始めとして木星へ進撃を開始する。
ディンギル前衛機動部隊―
旗艦『ギルガンド』艦橋―
ゼール「全艦、土星へ向けて発進!」
一斉にエンジンが唸りを上げると、土星の衛星圏内へと足を進めて行く。
それから遅れて15分後、ルガール・ド・ザールの本隊も後を追うようにして行動を開始した。
本隊が向かう先は、火星と地球である。
ディンギル本隊―
旗艦『ガルンボルスト』艦橋―
ザール「要塞はこの宙域で待機。」
後方での支援任務を主とする要塞空母に、待機命令を出す彼の若々しい声を響かせる。
そして、本目標の指示を全艦に向けて言い放つ。
ザール「全艦、出撃! 地球人共を一人たりとも逃がすな、撃滅せよ!!」
土星衛星『フェーペ』―
コロニー『ハナニラ』司令部―
ディンギル艦隊の接近など知らない、コロニーの駐在軍は相変わらずの平凡ぶりだった。
オペレーターA「はあぁぁ~。」
緊張の欠けらも無い欠伸が、指令室内部に力なく響いている。
それを見た同僚達も、あまりにも緊張感の無さに対して呆れた様子で見ていた。オペレーターB「お前、暇なんだな。」
オペレーターA「仕方ないじゃんか、敵が来なきゃ暇になるだけだ。」
オペレーターB「まあ、そうかもしれんが……そういや、火星の噂を聴いたか?」
オペレーターC「俺知ってるぜ。国籍不明の幽霊戦艦だろ?」
オペレーターB「幽霊じゃねえよ。だが、どうやら宇宙軍の奴らが鹵獲しやがったらしい。」
オペレーターC「噂じゃ、俺たち統合軍や宇宙軍を凌駕するらしいぜ。」
オペレーターA「チッ、宇宙軍が……。」
宇宙軍に対して悪態を突くなど、呑気な会話の最中にレーダーが異変を捉えた。
赤く表示された未確認の光点に気づいたレーダー手が確認を取る。
レーダー手「ん? これは……!?」
一瞬にして、レーダー手の顔色が真っ青になっていった。
ただ事ではない彼の様子に、コロニー司令官は不思議がって聞いてみる。
司令官『片山 雄二』少将―
片山「なんだ、どうした?」
レーダー手「レ、レーダーに多数の空間歪曲反応を確認! 数、なっ……75!!」
片山「何だと!?」
思わず片山は席から立ち上がって声を上げてしまったが、それを気にしている余裕は無い。
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