第三章

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水惑星『アクエリアス』到達、即ち人類滅亡まで後25日と迫った地球は何かと騒がしくなっている。 地球政府は、即急に地球市民を各惑星及びコロニーに移住させる事を決定していた。 しかし、宇宙軍と統合軍の輸送艦を持ってしても、地球全市民を救出するのに膨大な時間が必要になってしまう。 そこで計画に変更を加える事になり、民間企業から商業用個人宇宙船とあらゆる船をチャーターして短期間に移住を完了させる事になった。 中には各コロニー、火星や木星に駐在していた輸送船、貨物船、客船をも引っ張り出してくる状況ではあったが、それを何とか短期間にやってのけた軍部と民間企業もさすがであろう。 本格的に第一次非難船団が約3億人もの避難民を乗せて出発したのは、後23日と迫る中であり、一先ず第一次船団は火星に向かうのであった。 避難先である火星でも、市民受け入れのための準備が行われており、生活物資の補給や増産を急がせている。 土星、外園― 幾つもの衛星を有する土星にも、地球人類の開拓の手が伸びている。 だが、土星衛星の外園宙域には、あのディンギル帝国の艦隊がワープ・アウトを終えて姿を表していた。 先日に先発した、ルガール・ド・ザールの地球封鎖艦隊である。 ディンギル艦隊― 旗艦『ガルンボルスト』艦橋― 旗艦を要塞空母から巨大戦艦『ガルンボルスト』に移したザールは、艦橋で全艦の状況報告を待っていた。 オペレーター「殿下、全艦ワープ・アウト完了しました。脱落艦はありません。」 ザール「よろしい。」 3000光年もの距離を100隻以上の艦隊が、足並み揃えて連続ワープで来れたのは称賛ものであると言えよう。 脱落艦が全くいなかったため、彼らはすぐに次の行動に移る事が出来た。 ザール「機動部隊のゼールを呼べ!」 通信士「……ゼール提督が出ます!」 艦橋のスクリーンに、ザールより年配の指揮官が姿を現した。 ディンギル前衛機動部隊司令― 『ゼール・ゴール』中将― ゼール〈お呼びでしょうか、殿下。〉 ザール「ゼール提督、これより予定の行動を取る。その祭、我が本隊との通信は封鎖するが、再び通信する時は緊急の時だ。」 ゼール〈ハッ。〉 ザール「では行動開始だ、土星、木星に存在する戦力、施設を徹底的に破壊しろ!」 ゼール〈了解しました!〉
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