蝶々の効果

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 先程まで、心地の良いBGMかの様に流れていたシャワーの音が止まる。 代わりに胸元より自分の心音がテンポよく響いてくる。と同時にバスルームの扉が開く音がした。  家の構造上、脱衣所は直接見る事ができないが、感じる。彼女が直線距離、車一台分を隔て、そこにいるのが解る。  タオルと肌が擦れる音が、微かにこぼれて聞こえてくる。この緊張感と裏腹、俺は非常に興奮している。  横から見たら一発で解るくらいに、自分の陰部が自己主張している。「わかってる、わかってるからまだ静かに隠れていてくれ。」  俺は少し焦った。隠しても隠れきれないこの事態に困惑していた。 その瞬間、机の上に置いていた携帯が小刻みに動きだし、黒人の演歌が流れだす。二呼吸後には歌は終わり、折り畳まれた携帯の背面の液晶には『メール一件』と書かれていた。  何か気を紛らわせなくては、そう思いメールを開けてみる。 『メルマガ・サンデーサンデー』と画面いっぱいに書かれており、先週十八禁のサイトのエロ画像の鍵を取るために登録したメルマガがあったのを思いだす。 『今週の鍵は、JCJKの連画と熟した果実ダヨー』と、メールの下の方に書かれていた。刹那、隣のクラスの神崎の言葉が脳裏をよぎる。 『俺、この前童貞捨てたんだぁ、でもさ‥入れた同時に即昇天ってな訳で、女ドン引き。マジやらかした感MAXでさぁ……』  俺はその時は下らんと思ったくらいだったが、よく考えると、それは恐ろしい事ではないだろうか? 「初めては十七歳でした。でもすぐ逝きました」……ダメだ。言えない。怖い。人として恥ずかしい。 「和哉、男はな‥」 親父の言葉が脳内で叫ぶ、そうだ、頑張れ俺、冷静に対処だ。  ドライヤーの音が聞こえてきた、よし、まだ猶予はある。  いいか、今から一発JCJK連画て一発抜こうとしたとする。俺の全精力を注ぎ込めばそう難しい事では無いし、ティッシュからゴミ箱までの距離も大丈夫だ。しかし、もし彼女が風呂から上がり『カズくん抱いて』といきなり来たらどうだ?俺は応戦出来るのか?そんなイメージトレーニングは今までしてきたことないし、主砲無しで戦える状況でもない。
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