バタフライ・エフェクト

蝶々の効果

　『熟した果実‥』つまりは熟女系か、今まで興味も無く見たことなかったが、逆転の発想だ。コイツを萎えさせる事により、持久力を上げるのはどうだ？それなら即戦闘であれ、長期戦であれいける。攻めも守りも兼ね備えた戦士になれるではないか。
　急ごう、俺にはあまり時間が残されていない。
メールから直接サイトに飛べるURLをクリックし、サンデーサンデーのトップページから素早く『熟した果実』を開く、パスを入力すると同時に様々なタイトルが目に飛び込んでくる。
「どれでもいい‥早く…」内心は非常に焦ってはいるが指先は確実に動き、今日投稿されたばかりの画像を選択した。
　ほんの少しの空白の後、画面には四十代の女性が縛られて笑っている画像が映しだされる。ふぅ、と軽く息を吐き、安心した俺がいた。（よかった、こんなおばちゃん見て性的興奮を感じないで…素直に気持ち悪いと感じてくれる俺の息子も偉いぞ）
　和哉は少し微笑みをうかべながら次のページを開き、また開き、開き‥。完全に自己主張をしなくなった陰部に気がつき、「よしっ」と言った瞬間。
「ガラララッ‥」
古い木製の脱衣場の扉が開かれた。気持ちの悪い画像を映しだしている携帯を急いで閉じた。「ぱこんっ」と、独特な音が、静かになった部屋に響く。俺は脱衣場に目線を向けた。
　恥ずかしそうに、でも少し泣きそうに、そんな不思議な表情を浮かべた彼女が、俺がいつも使っているバスタオル一枚でそこには立っていた。
『カズ君、恥ずかしいよ‥私だけこんな格好で…』と、いったセリフが俺の毎日行われる愛の妄想劇場では出てくるシーンなのだが、現実はいつも不思議なものだ。