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「かっこう、疲れて帰ってきた後悪いんだかが次の任務の話だ。」
そう言って話を切り出したのは、特別環境保全事務局東中央支部支部長の土師圭吾だった。
「ああ、いいぜ。」
かっこうは頷く。特徴という特徴はとくに見られない少年。頬に貼付けられたバンソーコーが特徴といえば特徴だろう。
「実は、まだ確認されていない虫憑きの殲滅に向かってもらいたい。」
「殲滅?」
「そうだ。今回の虫はとにかく強い。火種四号局員三人、火種五号局員六人を同時に相手にして半分を欠落者にした。」
「!?。」
火種四号と火種五号を、それも複数相手に勝っている。これはただ事ではなさそうだ。
虫憑きの強さにはランクがあり、一号指定から十号指定、さらに号指定されない無指定と続く。号指定局員は少なく、稀にしか発見されない。かっこうはいまだ五人しか発見されていない一号指定局員だ。
更に、説明を加えると、単純に戦闘力が秀でた虫を火種、特殊な能力を使う虫を異種、希少価値の有るもの、または何等かの秘匿性の有るものを秘種という。
かっこうは火種にあたる。
「まあ、そんな訳で我らがエースの登場というわけだ。」
「で、何時から行くんだ。」
「まあ話は最後まで聞きたまえ。何も君一人で行く訳じゃない。入ってくれ。」
すっと扉を開けて入ってきたのは白いロングコートに身を包み、片手に顔の半分以上を覆い隠すと思われるゴーグルを持った女だ。
「何で俺様がかっこうと同じ任務なんだ。」
「霞王!? オイ、土師。まさか、一緒に行くのは・・・。」
「そう、霞王君だ。では二人ともしっかり頼むよ。」
「はっ、俺様が失敗は有り得ねえから安心しな。むしろ、かっこうのほ」
「黙れ、霞王。」
「ああ、黙れだと。誰に言ってんだ、って霞王は俺様しかいねえじゃねえか。かっこう、てめえ喧嘩売ってんのか。大体なあ」
延々と話す霞王を無視し、かっこう、薬屋大助は溜め息をついた。
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