久実ちゃん

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いつものように小学校から帰宅し、家族に帰宅の挨拶もそこそこに、私は近所の児童公園に遊びに行きました。 いつものように無駄に短いスカートを、ヒラリヒラリとはためかせ、近所の目など気にもなりません。 鴉がギャーギャーと、これまた祖母と喧嘩をした母のように喚きはじめたころ、私は公園の、ちょうど滑り台の下を凝視する、件の久実ちゃんを発見致しました。 いつものように、何をするでもなく、滑り台の支柱を凝視しているのです。 どれほどの時間、そこにおられたことでしょう。 私が気付いて暫くすると、久実ちゃんはその場を離れ、上半身を全く動かすことなく、歩いて行きました。 急に好奇心を掻き立てられた私は、悪人を尾行する蜉蝣お銀になりきり、コッソリと久実ちゃんの後を着いて行くことにしました。 久実ちゃんは特にどこに行くわけでもなく、あの独特の歩き方で住宅街を一周し、ほどなくまた公園に戻ってしまいました。 そしてまた、あの滑り台の支柱を凝視しているのです。 蜉蝣お銀になりきっていた私は、首を傾げながらも、久実ちゃんに見つからないように見張る事にしました。 そして、そこで久実ちゃんは衝撃的な行動に出るのでございます。 久実ちゃんは穿いていたズボンを脱ぎ、地味な割烹着も脱ぎ、豊満すぎる生まれたままの姿になると、徐に滑り台の支柱を使って【ポールダンス】を始めたのです。 私は訳もわからず、淫媚と言うには無理のあるそのダンスに、それこそ釘付けになってしまったのです。 いつまでその場にいたのか、覚えておりません。 どのように帰宅したのかも、覚えておりません。 その後久実ちゃんは、公園に現われることはありませんでしたが、未だに変わる事のない和田アキ子ヘアと、地味な割烹着を着て、自閉症障害者施設に通っているようです。
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