第一話~月下の出会い

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「はい、じゃあここまで。日直!」 理科の担当の林田が、終わりのベルを聞いて日直に言った。 言われた日直は、慌てて立ち上がって 「起立、礼。ありがとうございました!」 日直が挨拶を終えると、林田は教室を出ていく。 林田が出ていくと、教室ににぎやかさが戻る。 何でかと考えていると、時計に目が止まった。 「もう昼か……」 気がつくと時計の針が12時半を指していた。 昼休みになっていたのだ。 「大地!」 俺が時計の針に気をとられていていると、後ろから声をかけられた。 「なんだ、港か…」 振り返ると、俺の後ろには170前後の背丈の高い男子生徒がたっている。 こいつは、天海港(あまみ・みなと)大地のクラスメイトである。典型的なナンパ野郎だが、成功は未だ無し。何回も失敗しているのにめげない。気軽な性格が、功を奏してか大地と仲が良い。 「何だとはひでぇなぁ…。一緒に昼食べるかって言ったのおまえだろ?」 「まあ、そうだな。」 朝に教室に入る前、港に言ったのは確かに俺だ。 しかし、さっきのことが気になってすっかり忘れていた。 だから、昼を適当にすませて、さっきのことを考えるつもりだった。 (まあいいや、昼食べながらでも考えるか…) そう考えていると、港が聞いてきた。 「どこで食べるんだ?」 大地は丁度いいと思い、考えるにはもってこいの行きたい場所を言った。 「屋上。」
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