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「はい、じゃあここまで。日直!」
理科の担当の林田が、終わりのベルを聞いて日直に言った。
言われた日直は、慌てて立ち上がって
「起立、礼。ありがとうございました!」
日直が挨拶を終えると、林田は教室を出ていく。
林田が出ていくと、教室ににぎやかさが戻る。
何でかと考えていると、時計に目が止まった。
「もう昼か……」
気がつくと時計の針が12時半を指していた。
昼休みになっていたのだ。
「大地!」
俺が時計の針に気をとられていていると、後ろから声をかけられた。
「なんだ、港か…」
振り返ると、俺の後ろには170前後の背丈の高い男子生徒がたっている。
こいつは、天海港(あまみ・みなと)大地のクラスメイトである。典型的なナンパ野郎だが、成功は未だ無し。何回も失敗しているのにめげない。気軽な性格が、功を奏してか大地と仲が良い。
「何だとはひでぇなぁ…。一緒に昼食べるかって言ったのおまえだろ?」
「まあ、そうだな。」
朝に教室に入る前、港に言ったのは確かに俺だ。
しかし、さっきのことが気になってすっかり忘れていた。
だから、昼を適当にすませて、さっきのことを考えるつもりだった。
(まあいいや、昼食べながらでも考えるか…)
そう考えていると、港が聞いてきた。
「どこで食べるんだ?」
大地は丁度いいと思い、考えるにはもってこいの行きたい場所を言った。
「屋上。」
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