そう、待とう。

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身体が宙を舞った。全てがスローモーションだ。 するとなんと、頭の中に沢山の映像が浮かんできたのだ。 一人の人間の、幼少時代から成長していく過程。 主人公は私。 この優しそうな女性は、そうだ!母だ! この人は、頑固そうだけどたまに優しい、父だ! なんてこった!昔のガールフレンドまで浮かんできやがる! その中でもとびきり可愛いのが、サマンサ!そうだ!5年前に結婚したばかりだ! これは……嘘だろう?俺には子供までいたっていうのか?何て可愛いんだ!天使のよぶへぁっ 顔面をしたたか打ち付けた。口から血が流れる。右腕がみたこともない曲がり方をしている。 だが全く痛くない! 「だ、大丈夫ですか!?なんてことだぁ!あああああすみませんんん!」 ひどくうろたえたようすの運転手が駆け寄ってきた。 「何泣いてるんだ兄弟!今日ほどハッピーな日はない!おかげで全て思い出した!君という人間に出会えて神に感謝したいぐらいさ!」 ドライバーに抱き着いた。 上半身血だらけ、肘から下が明後日の方向を向いた腕なんて気にするもんか! その後、彼は泡を吹いて気絶。私は運ばれて治療を受け、終始歌い踊り狂っていたため強制的に精神鑑定され一悶着した後、無事祖国で家族に再会した。
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