ペットショップ

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僕がここに入れられて3日目。さすがにもう出たい。 だから今日も精一杯、客にかわいこぶる。 「かわいー」 女子高生だ。ヤベー女子高生だ。飼われてー。女子高生に飼われてー。飼わなくていいから遊んでー。 女子高生はガラスに指を着けてくるくる回し始めた。よしきた。 僕は精一杯拙さを演じながら目で追う。 女子高生は微笑み、目を輝かせる。ああ、眩しい。 女子高生はずーっと30分くらいそうやって、ガラスを軽く叩いたり指遊びしたりしてくれた。 でも疲れたので、奥義うつらうつら作戦だ。 眠そうに目を閉じ、ガラスを叩かれたら、はっとして起きる。のエンドレス。 これで大体の客は帰るか飼うかしてくれるらしい。と同室の今は爆睡してる奴に言われた。 女子高生もちょっと遊んでから、 「バイバイ」 帰っていった。 もう店終いの時刻。 ああ、今日も飼われなかったな。僕らは一生飼われずに処理されてしまうことも少なくないらしい。 でも、毎日あんな女子高生が来てくれるなら、それでもいいかな。 おやすみ。
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