恐怖

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夜、2階の自分の部屋で寝転んで漫画を読んでいると、窓を叩く音が聞こえた。 ノックするように、二回。 何か軋んだ音だろうと思って気にしなかったが、どうやらカーテンの向こうで何かが叩いているようだ。 ノックの音はずっと続いていた。 鳥か何かかな。と思って勢いよくカーテンを開けると、赤い目を見開いた血まみれの女が笑っていた。 僕はそれを見た瞬間、思った。 タイプだ。 窓を開けて、話し掛ける。 「どうしました?」 彼女は笑ったまま、反応がない。 「何かいいことでもあったんですか?」 なおも反応がなく、痺れを切らして、言ってしまった。 「上がっていきますか?」 大胆すぎた。もうなるようになれ。彼女の手を掴んで引き込もうとする。 しかし、慌てたように彼女は消えてしまった。 ああ、やっぱりがっつきすぎたか。そうそう上手くいかないなあ。 名残惜しく窓を閉めて、ベッドに倒れ込んだ。
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