400人が本棚に入れています
本棚に追加
その日、僕は文化祭の準備で遅くまで残った。やっとのことで終わらせて帰宅するため廊下を歩いていると、女子トイレから彼女が出て来た。
僕を見た瞬間、彼女は動きを止め、素晴らしいスタートダッシュでエスケープしようとした。
「待ってっ!!」
今まで声を掛けたことも追いかけたこともない。だから彼女は驚いて立ち止まったようだった。不思議そうに振り替える彼女に、僕は続ける。
「ずっと聞きたかったことがあるんだけど……」
彼女は僕の言葉を真剣な様子で聞いている。まだあどけない顔つきで、純粋そうな目で僕を見る。
「どうして君は……幽霊になってここにいるの?」
彼女は少し考えてから、
わからない、と首を傾げた。
続く
最初のコメントを投稿しよう!