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「まあ,はい,いや,すいませんこっちのせいで」
なぜか謝る俺。
「あなたは悪くないよ,迎え来るまで時間あるから話そ?」
そう言って彼女はベッドに座り,隣に座るよう促してきた。
俺は言われるまま座る。今まで余裕がなくてちゃんと顔をみていなかったが,この人なかなか,いやかなりかわいい。少し後悔の念に苛まれた。
色々な話をした。聞き役に徹していただけで彼女から話してくれたから楽だった。仕事を始めた理由や悩みが主な話題で,客の無理な注文に相当悩んでいるらしい。
話ているうちに時間が来てしまった。自分とはまったく違う世界の話は時間を忘れさせるほど好奇心を奮わせた。
帰り際,彼女は寂しそうに手をふった。俺は精いっぱいの笑顔で見送った。いつのまにか彼女に惹かれ始めている自分がいた。
二度と会うことはないだろう,そう思った。
※友達が体験した実話
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