魔王城の憂鬱

3/6
前へ
/6ページ
次へ
ルートは小さな声で呟くと、リリアを立たせようと右手を差し出す。 「……、ありがとう」 たっぷり10秒考えてからリリアはルートの手を取り、引っ張り上げて貰った。『敵に情けは無用!』等と言われるのを覚悟していたルートは、リリアの言葉に目を細める。 「っは。まっまっ、待て。起こしてくれたことには礼を言おう! だが、私はまだ怒ってるんだぞ!? ……っ、さっきのはいったい、何だったんだ!」 リリアの戸惑い混じりの大声に、ルートは妖しく笑んで……今度は右の頬に、ちゅっ、と音を立てキスをした。 リリアは今起こったことに目を見開き、茫然と口を開く。 「──‥っ、勇者のドアホー!!!!!」
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加