正常≠異常

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「どこっ?!どこなの?!」 足に力を入れ勢いよく立ち上がる。 母より目線が高くなり、仁王立ちになる。 『灯子…?』 「…眼鏡はどこ…?」 『眼鏡…?そんなの掛けてなかったじゃない…?』 「嘘っ!!!」 ドア前にいた母を足で蹴る。 今まで灯子はこんな事をしたことはない。 ましてや母に逆らうなどもってのほかだ。 そんな灯子が… 走り出し部屋を出る。階段を駆け降り各部屋を確認して行く。 母が後ろを追ってくるが無視している。 それだけ全神経があの眼鏡に集中している。 執念。 母には娘が食べ物をひたすら探す飢えた獣のように映った。 全部屋を見回ったが無かった。 母の方に灯子が振り向く。 母は目を疑った。 娘の目は紅く光り、こちらを見つめていたのだから。 「メガネ…どコだ…?」 片言になっている。 灯子ではない何か。 『し、知らない…』 「うソヲつくナ…」 ガッ 娘は母の首を掴み片手で壁に打ち付けた。 『ゲホッゲハッ…と…こ……なに…るの…?』 「メがネ…ドコにあル…?」 『本当に……しらな…い……』 「そウ……」 理解してくれた…そう安堵した時… 『うっ!!!!!』 何倍もの力が灯子の片手に入った。 不意をつかれ入れられた力で一気に母は窒息した。 体は動かなくなり、灯子じゃないものはその手を離した。 『めがネ……ナい…』 そう言うとそれは家をでた… そしてそれっきり消息を絶った。
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