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「だぁー!
何かおもしれー事ないか?」
生徒会室に丹羽の声が木霊する。
「ほぅ…」
その瞬間、中嶋の目がキラリと光った。
「楽しい仕事をくれてやる」
中嶋は終わった書類の束を丹羽の机に山積みにした。
「ゲッ!
こんなもん寄越すんじゃねぇ!」
丹羽が押し戻そうとすると、中嶋は書類の束に右手を置いた。
「たまに出て来たんだ。
やれる事は全部やれ」
丹羽は上から突き刺さる鋭い視線から逃れる様にキョロキョロと辺りを見回す。
すると、2人の様子を伺っていた啓太と目が合った。
「け、啓太!お前からもなんか言ってくれ!」
丹羽が助けを求めると啓太は困った表情で立ち上がる。
「・・・・分かりました」
「おぉ、やっぱりお前は出来た後輩だ!」
満面の笑顔で頷いている丹羽の机に両手を乗せて啓太は言った。
「王様!ちゃんと仕事して下さい!」
予想外の事を言われた丹羽は驚きに目を見張る。
「な、何言ってんだ!?」
椅子を鳴らし立ち上がる素振りを見せた丹羽に、啓太は両手で机を叩き、大きな音を立てた。
「それはこっちのセリフです!王様がサボるから中嶋さんがずーっと仕事してるんですよ!過労死しちゃいます!」
一気に捲し立てた啓太は肩で息をしていた。
あまりの剣幕に驚きながら丹羽は小さく反論する。
「仕事バカのヒデが過労なんてありえ…」
ない。と続けようとしたが、啓太が睨んでるのに気付き語尾を濁した。
「王様がちゃんと仕事してくれないと、中嶋さんと遊べないんです!」
「・・・・・はぁ?」
真剣な啓太の言葉を聞きまちがえたのかと丹羽は耳をほじった。
「聞いてるんですか!?
中嶋さん仕事があるって俺と遊んでくれないんです!」
啓太は身を乗り出して訴える。
「いや、俺に言われても…」
「王様が仕事すれば解決なんです!
しないんなら俺、海野先生の所へ行きますよ?」
丹羽はビクッと肩を震わせた。
「きたねぇーぞ、啓太」
「嫌なら仕事、して下さい」
「・・・脅されて捗るか」
子供の様にブスッとしている丹羽に啓太はニッコリ笑った。
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