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篠宮はしっかりと啓太の目を見た。
「伊藤はどんな時でも一生懸命で、他人を思いやる優しい心を持っている。
そんな伊藤を見ているうちに、気付いたら目が離せなくなっていた」
篠宮はそこで一旦区切り、啓太と向き合い繋いだ手を胸元まで持ち上げる。
「伊藤を手に入れたいと思った。
抱き締めたいと思った。
…触れたいと願った。
こんなに人が愛せるなんて、思わなかった」
熱い視線を受けながら、啓太は真剣に篠宮の言葉を聞いていた。
「愛してる、啓太。
これからも俺と一緒にいてほしい」
言い終わり、予想以上に赤くなっている啓太の顔を見て、篠宮も自分が赤くなっていくのが分かった。
そして、まるでプロポーズの様なセリフを言ってしまったと恥ずかしく思った時、啓太が篠宮に抱き付いた。
「嬉しいです。
俺も、篠宮さんが大好きです。
ずっと、一緒にいたいです」
そう言いながら篠宮を見上げる啓太の瞳は涙を溜めて潤んでいた。
しっかりと抱き締めながら、2人はしばらくお互いのぬくもりを感じていた。
2人きりの寮までの帰り道。
街灯が微かに2人を照らしている。
― 完 ―
*・~・*・~・*・~・*
甘い?
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