連絡船………

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連絡船………

何処へも、行きたくないと…泣いた日々。 ここから…… 「いいえ」…貴方から……離れたくないと泣いた夜。明日になれば…… 住みなれた街に、 貴方から…さようなら。 私の心は揺れた。……… 楽しかった日々。 貴方と居た事が、幸せだったから。……… 最後の夜なのに……… 貴方に抱かれる事なく。 住み慣れた町にさようなら…… 今夜……連絡船に揺られて長い旅に出ます。 デッキに立ち…… 貴方の姿、探すけど。……夜風が、私の体すり抜けるだけで……貴方は来ない。 やがて……住み慣れた町が………「遠く、ぼんやり」浮かぶまで離れた。…… これから津軽海峡渡り……荒波越えて… 旅立つ私 悲しいねぇ。…… 行きたくないと、泣いた夜貴方を困らせた………… 分かっていたのに。 最後の、私の我が儘だった デッキの上の夜風が、やけに冷たいねぇ。 町の明かりがあった方向見つめ。……… いつまでも……… そこから去れないで居る、私。…… この船は、色んなドラマを乗せて港を離れて行く……切ないねぇ。……… この海に何もかも、捨てて行こう…… 私の想いを全部。……… 洗い流してもらおう 荒波に。 さようなら………貴方。 さようなら…住み慣れた町さようなら……思い出。 もう二度と踏みいれる事の無い町。
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