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「バンパイア?あの絵本とかに出てくる…」
隼はこくりと頷く。
「そうだ。正体を知ってしまった奴にはこうして死んでもらってる。」
どくっと強く心臓が脈打った。自分は大変な場面に出くわしてしまったと、今更ながら実感した。
「殺すならとっとと殺せばいいじゃない。」
強気に言ってみるものの、握った拳はぶるぶると震える。そんな亜美の様子を嘲笑い、ゆっくりと歩みを進める。
「以外と強気な女だな。」
そっと顎を持ち上げ、唇を重ねる。
「んー!?」
触れるだけの接吻をし、満足気に亜美から離れる。
「ふっふざけてんの!?さっさと殺しなさいよっ」
隼の瞳が鋭くなり、声のトーンもぐっと低くなる。
「意気がるな。お前は俺に生かされてる。俺の気まぐれでな分かったらとっとと消えろ。」
びくりとして小さな肩を震わせば、冷たい瞳で睨みつけられる。
「今日のことは誰にも言うんじゃねーぞ?言ったら命は無いからな」
亜美は一目散に職員室を飛び出し、家に向かって駆けた。
聞きたいことは山ほどあったが、冷たい瞳で睨みつけられた瞬間、背筋が凍り付いた。あのままその場に居たら確実に殺されていただろう。
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