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振り向くと同時に首筋に何かが突き刺さった。
「うあっ…」
薄暗い中で見た人物の顔は、学園アイドルの国生隼だった。
鋭い痛みが遅れてやってくる。首筋が熱をもって熱くなり、体から段々と力が抜けていく。
「国生…隼っ…」
自分はここで死ぬのかと思った。息をするのも苦しくなって、けれど、こんな所で訳もわからず死にたくなくて無我夢中に暴れた。
「っ…」
どうやら一発がみぞおちにはいったらしい。
隼はさっと後方に飛びすさり、口元を手で拭う。
「な、何っ!?いきなりなんなのっ」
肩で大きく息をして、キッと強く睨みつける。
「お前は…確か、氷乃亜美っつったか?」
背中には漆黒の翼。
二本の牙。
本で読んだことのあるバンパイアみたいだった。
「そ、そう。何?そのかっこ。まるで…」
切れ長の瞳が亜美をとらえる。そして、続きを隼が言う。
「バンパイアだ。正真正銘のな。」
亜美の瞳が大きく見開かれ、揺れる。にわかには信じられない話しだっだ。
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