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「もう一年か……」
花束を供えながら、隼がぽつりと呟いた。
「最近は、とても穏やかな日々ですね。まるであんなことなんてなかったみたいに」
碧が同意しながら、お線香に火をつけた。
「白銀もびっくりだね」
くすりと笑って亜美が石碑に水をかけていく。
「そうだな。兄貴の死を無駄にしないことはできてるな」
ざぁっと一陣の強い風が吹き抜けた。
皆手を合わせ、しばらく黙祷しだす。
特に、隼は長かった。
「そろそろ行くか」
隼の一言に皆静かに頷く。
「また来るね、白銀」
此処に墓を建てたのは、気休めだ。
白銀の一部もこの碑石には眠っていない。
けれど、せめて白銀が安らかに眠れるようにと、隼が言いだし、見晴らしのいい場所に建てることにした。
「私、なんだかお腹が減りましたわ」
「黙って、輸血パックでも飲めば?」
三度、喧嘩勃発。
三人はそんな二人を微笑みながら眺めていた。
「ご飯でも食べていきましょうか。何がいいです?」
「和食がいいー」
「中華、中華!!」
「やっぱフランス料理ですわよ。貴方たちは庶民ですわねぇ……」
四度、亜美も交えて喧嘩勃発。
隼と碧は苦笑するしかなかった。
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