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「亜美。少しいいか?」
激しく火花を散らしていた三人は、ふと視線を移す。
「うん。いいよ」
そう答えて、ヒカリに向かって舌を突き出し、あっかんべーをしてから隼の元へと駆け出した。
「碧。先に二人を連れて行っててくれ」
「分かりました」
何かを察した表情をして、碧はにこやかに微笑んだ。
「えー、隼様。私にはお話は無いんですのー?」
「はいはい。アンタはもう諦めなさいな。望みないから」
「なんですって!?」
ヒカリの襟首を掴んでずりずりと引きずる。
「まぁまぁ、ほら、ご飯にしましょう。国生家の料理人ならなんでも作ってもらえますから」
三人の声と姿が段々小さくなった時、隼は何かを決心したかのように亜美の手をとった。
「隼?」
「ずっと言いたかった。俺はお前に感謝してるってことを。お前のおかげで今があると俺は思ってる」
隼の真剣な眼差しを、亜美は微笑んで受けとめた。
「そんなことないよ。私は何もしてない。隼が変わったんだよ」
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