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ありがとう。
この言葉には俺の色んな思いがこめられていた。
思いの半分も伝えられなかったけれど、それでもいいと思った。
これから時間は沢山あるから、お前の存在に、俺がどれほど感謝しているのか、ひとつひとつ伝えていけばいい。
「そんなに長くは待てないからね」
照れ隠しに言ってることなんて分かった。
そんな亜美も、凄く愛しい。
「そんなに待たせる気はねぇよ」
そっと手を差し伸べれば、戸惑いながらも亜美は繋いでくれた。
温かい。
人の温もりは触れていてとても心地良い。
こんなに温かい温もりを一年少し前の俺は知らなかった。
その温かさに戸惑い、拒否したこともあった。
けど、この温もりに今は答えることができる。
俺も生きているから。
あぁ。
こんな日が訪れるなんて夢にも思わなかった。
「亜美。俺、今すげー幸せだ」
繋いで手の温もりが俺の心にまで届いたみたいに、あったかい。
「私も……幸せだよ。隼、大好き」
じゃあ、俺は愛してるだな。
言葉の代わりに口付けで返した。
この想い、亜美に届いてるといいな。
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