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「きゃあっ国生隼様が来るわよ。」
朝っぱらから女子の黄色い声が学校中に響き渡る。 毎朝うるさくてかなわないのだが、かれこれ半年も繰り返されていると、すっかり慣れてしまう。慣れと言うものは怖いものだ。
「隼様、早く来ないかしら」
先程から名を出されている国生隼は、城野学園3年、生徒会会長。容姿端麗、学年首席、おまけにルックスも抜群ときている。
これだけの要素が揃っていて、女子にもてないわけがない。
学園中の女子の注目を浴び、いまや学園アイドルとなっている。
ファンクラブまであるくらいだ。
「ほらっ、隼様来たよ、亜美。」
「だから、興味無いってば。」
この物語の主人公、氷乃亜美。城野学園に通う、3年生。ごくごく普通の女子高生だ。
「あんなに格好良いのに?」
亜美の親友、松崎柚(まつさきゆず)。
「好みは人それぞれって言うじゃん?私は格好良いとは思わないなぁ。」
柚は不満そうに口を尖らせ、何かを言おうとした時だった。
校門前に一台の立派な黒塗りの高級外車が停まった。
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