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陽が沈み、下校時刻はとっくに過ぎ、夜風が吹き始めた頃。
亜美は学校の廊下を一人で歩いていた。
「失礼します。」
重たい職員室の扉を開いて、中に入る。
「おー、氷乃。忘れ物か?」
中に入ると担任以外、人は居なかった。
「そうです。ほら、六限目体育だったじゃないですか、体操着忘れてしまって。」
素直に理由を話すと担任は豪快に笑って教室の鍵を貸してくれた。
「体操着くらい、一日洗わなくても平気だろ。」
「汚いですよ!」
顔を真っ赤にして即座に答える亜美を見て、また笑う。
「そうかそうか。女子は分からん。」
取り敢えずお礼を言って、一端職員室を出る。
暗い廊下を歩き、教室に入ると当たり前で真っ暗だった。少し怖くなったり。
目的の物を取り、さっさと職員室に鍵を返しに行って帰ろうと思った時だった。
一斉に学校中の電気が消えた。
「え?」
突然の出来事に頭がついていかない。
電気のスイッチを入れても入らないので、ブレーカーが落ちたのだろう。
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