生徒会長と私と

7/10

4008人が本棚に入れています
本棚に追加
/235ページ
慣れない暗闇に恐怖を覚え、取り敢えず教室を出て元来た道を戻り始めた。自然と早足になっていたのに亜美は気付いていない。 一刻も早く職員室にたどり着かないのかと、気持ちは焦るばかりで。 ようやく職員室にたどり着いた亜美は中に飛び込んだ。時間にしてみれば数十秒なのだが、何十分にも感じた。 「何…これ…」 数分前に見た職員室とはあまりにも変わっていた。荒らされた机。床、机に散らばるプリント。 窓から差す月の光は、周りを見渡せるぐらいの明るさはあった。 そして、床に倒れ込んでいる担任。 「先生っ!」 慌てて駆け寄り脈を確認するが、すでに息を引き取った後だった。 「…先生?」 職員室の中は不気味なほど静まりかえっていた。 「なにこれ、首筋に二本の歯形?」 胸がざわざわとさわぎだす。逃げたいのに足がすくんで逃げられない。 その時、背後から何かの気配を感じた。 振り向けない。恐ろしくて。 きっと背後に居るのは、先生を殺した人物だから。 「コイツ以外に人間が居たのか。運が悪かったな。この場に居なければ死なずにすんだものの。」 何者かが、耳元で甘く低く、囁く。
/235ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4008人が本棚に入れています
本棚に追加