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慣れない暗闇に恐怖を覚え、取り敢えず教室を出て元来た道を戻り始めた。自然と早足になっていたのに亜美は気付いていない。
一刻も早く職員室にたどり着かないのかと、気持ちは焦るばかりで。
ようやく職員室にたどり着いた亜美は中に飛び込んだ。時間にしてみれば数十秒なのだが、何十分にも感じた。
「何…これ…」
数分前に見た職員室とはあまりにも変わっていた。荒らされた机。床、机に散らばるプリント。
窓から差す月の光は、周りを見渡せるぐらいの明るさはあった。
そして、床に倒れ込んでいる担任。
「先生っ!」
慌てて駆け寄り脈を確認するが、すでに息を引き取った後だった。
「…先生?」
職員室の中は不気味なほど静まりかえっていた。
「なにこれ、首筋に二本の歯形?」
胸がざわざわとさわぎだす。逃げたいのに足がすくんで逃げられない。
その時、背後から何かの気配を感じた。
振り向けない。恐ろしくて。
きっと背後に居るのは、先生を殺した人物だから。
「コイツ以外に人間が居たのか。運が悪かったな。この場に居なければ死なずにすんだものの。」
何者かが、耳元で甘く低く、囁く。
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