聞こえる

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病院を出た博人と雅子は、自宅に向かって歩き出す。 「よく打ち所悪かったって言うけど、博人。刺され所悪かったの?」 そんなことを、雅子は真顔で問いかけた。 「何言ってんだ?お袋こそボケでも始まったんかよ?」 「なんか博人、変だよ。 あんなこと頼まれても言わなかったでしょ? それに天使って何?」 「あー。子供には俺の魅力が解んじゃねーのか? 子供は正直だからな」 「それに、子供苦手だったでしょ?」 「んなことねーよ。 案外ロリコンかもしんねーよ?」 「何言ってんだか」 『博人と、こんなに話したの、いつ以来だろ。嬉しいな』 雅子の声が頭に響く。 こんなことで喜んでんじゃねーよ。 博人は照れ隠しに、そうつぶやいた。
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