12時の幽霊

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『あれは…幽霊なんかじゃない……ちゃんと生きている女の人だ。』 その言葉を聞いて不思議そうな顔でジャンを見ると……ジャンはいきなり走り出してホールの扉を開いた。 しかし、開いたドアの先に広がる風景にその女はいなかった…。 いきなり走り出したジャンを追って、二人が走ってくる。 『どうしたんだよジャン!』 ミッシェルがジャンの肩を掴んで話し掛けたが、ジャンは振り返りもしなかった。 『居ないってことはやっぱり幽霊だったんですよ。それに、あんなダンスを踊れる貴族なんて居ないですよ。』 すると、今まで振り返りもしなかったジャンがリュカの方に顔を向け真剣な目で言った。 『いや、彼女は絶対実在する!……俺が探し出してみせる。』 そう言うと、ホールを出て走っていった。 その後ろ姿をじっと見ている二人…… 『なぁ…もしかしてジャン…幽霊に恋しちゃったってやつ?』 『…そうでしょうね…。探すって言ってますし…。』 二人は顔を見合わせて溜め息を吐くと、ジャンを追いかけて走っていった。
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