『ケロの恋』

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『ケロの恋』

それは まん丸いお月さまの浮かぶ 静かな夜のことでした アマガエルのケロは お気に入りの蓮の葉の上で 大好きな雨が降るのをまっていました さっきまで一緒にいた アメンボのスイちゃんも 「おやすみ」と言って お家に帰ってしまったので ケロは 少し寂しくなりました まん丸いお月さまだけが ケロを見て笑っています ケロは お月さまが大好きでした お月さまに 少しでも近づくように 一晩中 跳ねていた夜もありました 水面にうつる お月さまと自分を見比べて 溜め息をついた夜もありました お月さまに笑われるのが恥かしくて ずっと水の中にいた夜もありました それでも ケロは お月さまが大好きでした でも… 大好きな雨が降れば 大好きなお月さまは かくれてしまう アマガエルのケロが 一番綺麗に映るのは そんな雨の夜でした お月さまのいない 雨の夜でした
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