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引越しという一大行事を控えて 風間家は何やらそわそわした気持ちのまま日常生活を送ることになった。
さて 話は変わるが 弟というものはなかなかやっかいなものだ。
男であるが故に姉である私にも強気な発言をしてくる。
というか姉だからこそ母が忙しい時は母代わりに世話をみなくてはならないし、怪獣ごっこでウルトラマンにやられる怪獣を演じなくてはならないし。
いちぢくの木に登って降りられなくなったら「次は右足をー少し下の枝にぃおいてぇ。」とナビしてやらなければならないし。
なにかとけがばかりさせていたような気がする。
だが半分はあいつが勝手に陥っただけだ。
とはいえほっとくわけにはいかない。
うまく階段登れないくせにすべりだいに登って途中で落ちて、額から大量の血を流しているときはさすがにびびった。
母を走って呼びに行った。覚えてないけど泣きながら呼びにいったらしい。
やっかいな弟だが死ぬとなると話は別だ。
何のため今まで面倒みてやったんだ。
私がついていながらなんたる有様だ!
その当時五歳にしてこの責任感。
まぁ、もっと単純にたいへんだあ!とパニックを起こしてただけだったかもしれないけど。
マミヤンの敏速な行動によってあきひろはことなきを得た。
しばらくはおでこにおっきなばんそこがべったりと貼り付けられたままだったが。
かようにして、姉上かたじけのうござる の一言もなしに姉という役職をもくもくとこなしていったことは、マミヤンにとっていいことだった。
かなり後の事だが自分の子供を育てる時に。
そして 転校に不安もあったが この 小さな仲間がいたから なんとか自分の存在意義を見失わずに済んだのかもしれない。
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