引っ越し、転校?

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 窓のカーテンを少し開けて駅を見た。  新潟駅を見るのもこれが最後かな?  でも西堀のお母さんの実家におばあちゃんがいるからたまには帰ってくるかもしれないなぁ。  新潟駅の裏の小さな町で過ごした数年間。  近所の幼なじみの直子ちゃん。  かんけりした三角公園。  空き地につくった秘密基地。  竹馬して夏に穴をあけたアスファルト。  蝉とり、自転車 ラジオ体操  玉子アイスのゴムのあじ。  雪がっせん。  みんなごたまぜになって、マミヤンに押し寄せて来た。    さよなら、新潟。… …。  弟は何度もはしごを昇り降りしていた。  ばかなんだから、もう。  夜汽車はゆっくり動きだした。  そういえば写真とるとかいってたのに。 乗ってしまうと外観なんて、関係ないじゃないか。  マミヤンはほんとは白鳥に乗りたかった。 あの 肌色と赤のツートンカラーの特急。  学校に行く時 踏み切りで 長い大阪行きの特急をよく見かけた。  遠いんだろうなぁ、と見送ってた、あの列車。 間違えて乗り込んだらすぐには帰れないはずだ。  一人で列車に乗るなんて恐くって出来ない。  十歳の私は母がそばにいるのを何度も確認しながら寝付けない夜汽車の寝台で寝返りをうった。
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